陶芸に関する豆知識を、Q&A形式でまとまております。
- 粘土はなぜ形を変えられるのですか?
- 外から力を加えた場合、壊れることなく変形しそのままの形を保持することを可塑性(かそせい)と言います。
粘土には乾いていない限りこの可塑性が備わっています。
粘土はとても小さい板状の結晶が重なって出来ています。
この結晶の間に水が入ることでスライドし、形を自由に変えることができるのです。
- 粘土はどうやってできるのですか?
- 粘土はもともと石でした。
石が長い年月をかけて風化・浸食・運搬・堆積・隆起することでできます。
粘土のできかたは、その石の場所で動かず浸食・風化して粘土になる場合(一次粘土)と流されて池や湖に堆積してなる場合(二次粘土)と二通りに分けられます。
後者のほうが運搬される分だけ不純物が含まれてしまいます。
- なぜ粘土は焼くと固くなるのですか?
- 粘土はもともと石だったと言いました。
そのおかげで粘土の成分の組成はもとの石と大して変わりません。
石は地中奥深くで圧力と地熱によりできます。(違うのもありますが)
従って、同じ組成の粘土も焼くことにより固く堅牢になるのです。
焼き物は人工的に作る石みたいなものです。
- 陶器と磁器の違いは何ですか?
- 焼き物は原料や焼成温度・色の違い、釉薬や吸水性・透光性の有無などで分類されます。
一般的に陶器は粘土を使い、磁器は陶石などの石を粉砕して使います。
それで陶器を"土もの"磁器を"石もの"なんて呼んだりします。
また、磁器は白色で1300゚C以上で焼かれており、吸水性が無く、透光性が有ります。
一方陶器は白色に限らず、1200度~1300゚Cで焼かれており、吸水性があり、透光性はありません。
- 素焼きと焼締(やきしめ)の違いは何ですか?
- 素焼きも焼締もどちらも釉薬を施していません。また、色・肌触りもよく似ていて混同しがちです。
しかし、この二つは全く異質なものなのです。
陶芸での素焼きは本焼き(1200~1300゚C以上)をする前に釉薬をつきやすくするためや欠損を防ぐために750~850゚Cで一度焼くこと、もしくは焼いたものを指します。
一方、焼締は釉薬をつけずに本焼き(1200~1300゚C以上)したものを指します。
- 陶器のつくり方はどんな種類があるのですか?
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作り方は色々あります。だいたい以下のような種類があります。
●手びねり
粘土をひも状にして積み上げて形をつくる方法。
●電動ロクロ・蹴ロクロ・手ロクロ
ロクロの回転を利用して粘土の塊に水を打ち、穴をあけ遠心力をつかって形をつくる方法。
●タタラ作り(板作り)
粘土を板状にして組み合わせたり、型に押し当てて成形する方法。
●彫り成形(くりぬき)
粘土の塊を好きな形にして中身をくりぬいて成形する方法。
●型起こし
石膏などで型を作り、粘土板を押し当てたり、粘土を泥奨状にしたものを流し込み石膏の吸水性を利用してつくる方法。
※作りたいものの形によって適した技法を選んでください。
- 釉薬(ゆうやく)とよく聞くのですが何ですか?
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釉薬の"釉"は訓読みで"うわぐすり"と読みます。略して"くすり"と呼ぶこともあります。
簡単に言うと釉薬は陶磁器の表面につけるガラスみたいなものだと思ってください。(厳密にはガラスではないのですが)
その効果は3つあります。
1.水を漏れにくくする
特に陶器は多孔質で吸水性があります。表面をコーティングすることで水を漏れにくくします。
2.強度を上げる
表面をコーティングすることで対磨性・対酸性があがります。また、土の中に釉薬が溶け込むことでより堅牢になります。
3.装飾
釉薬には様々な色があります。色を使い分けることで、意匠をつくることができます。